AIに入力してはいけない情報とは?個人情報・社外秘の基本
AIに文章や写真を入れるとき、どこまでなら安心?個人情報保護委員会やAI事業者ガイドラインなど公的機関の注意点をもとに、入れていい情報といけない情報の線引きをやさしく整理します。
AIのはじめ方この記事で分かること
・AIに「入れていい情報」と「入れてはいけない情報」の境界線
・個人情報保護委員会やAI事業者ガイドラインなど、公的機関が示している注意点
・今日からできる、安全にAIを使うための3つの習慣
なぜ「入力していい情報」を考える必要があるの?
AIのチャットに文章を打ち込むのは、紙のメモに書くのとは少し違います。入力した内容は、AIを提供している会社のサーバーに送られ、サービスによっては、AIをもっと賢くするための学習材料として使われることがあります。一度ネットの向こうに送った情報は、あとから「やっぱり取り消したい」と思っても、完全には消せない場合があります。
たとえるなら、AIは「社外からきた、とても物覚えのいいアルバイトさん」のようなものです。頼んだ仕事はきれいにこなしてくれますが、会社の金庫の暗証番号や、お客さまの個人情報まで見せてよい相手かどうかは、別に考える必要があります。社内の人になら当たり前に話せることでも、社外の人には伝え方を選ぶはずです。AIに対しても、同じ感覚を持つことが出発点になります。難しい契約書を読まなくても、この感覚さえあれば、おおよその判断はできます。
OLIVEまた、多くのAIサービスには「入力した内容を学習に使わない」設定(オプトアウト)が用意されています。会社でAIを使うときは、担当者が最初にこの設定を確認しておくと、入力できる範囲も判断しやすくなります。設定の名前や場所はサービスによって違うため、迷ったときは提供会社のヘルプページで「学習」「オプトアウト」といった言葉で探してみてください。無料プランと有料プランで扱いが違うサービスもあるため、契約前に確認しておくと安心です。一度社内で設定を確認しておけば、以降は毎回調べ直す必要がなくなります。
ここからは、公的機関が実際に呼びかけている内容をもとに、入れていい情報・いけない情報を具体的に見ていきます。
入力してはいけない情報①:個人情報・お客さまの情報
個人情報保護委員会は2023年、生成AIサービスの利用に関して注意喚起を行い、個人情報取扱事業者が生成AIに個人データを入力する場合、あらかじめ本人が同意した利用目的の範囲を超えないよう求めています(確認日:2026年10月)。
具体的に、入れる前に必ず立ち止まって確認したい情報の例です。
| 情報の種類 | 具体例 |
|---|---|
| お客さまの氏名・住所・電話番号 | 問い合わせ対応の下書きに、そのまま貼り付ける |
| 予約情報・購入履歴 | 個人を特定できる形のまま「この人向けの文章を作って」と頼む |
| 顔写真・声 | 本人の許可なくAIに読み込ませる |
お客さまの名前や連絡先が入った文章をAIに手伝ってもらいたいときは、名前を「お客様A」、住所を「〇〇市内」のように、誰か特定できない形に置き換えてから使うのが基本です。たとえば、問い合わせメールの返信文をAIに下書きしてもらうときも、実際の氏名の部分だけ仮の名前に差し替えておけば、文章の内容はそのまま使えます。アンケートの自由回答をAIにまとめてもらう場合も、回答者の名前や店舗名を伏せてから渡すだけで、安心して活用できます。置き換える作業は、最初は手間に感じても、数回繰り返せば数秒でできるようになります。
個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年公表)では、個人データを含む入力内容について、利用目的の範囲内かどうかを確認するよう求めています。
入力してはいけない情報②:社外秘・パスワードなど
会社の中だけで使う資料(仕入れの原価、取引先との契約内容、まだ発表していない新商品の情報など)も、入力には注意が必要です。AIの提供会社によっては、入力した内容を保存したり、サービス改善のために確認したりすることがあるためです。小さな会社ほど、一度の情報漏れが取引先からの信頼に直結するため、「念のため置き換えてから入力する」くらいの慎重さがちょうどよい距離感です。
パスワードや銀行口座の暗証番号、マイナンバーのような「それひとつで本人や口座になりすませてしまう情報」は、どんな場面でもAIに入力しないでください。総務省・経済産業省が2024年にまとめた「AI事業者ガイドライン」でも、機密情報や個人情報を生成AIに入力する際は、提供事業者の利用規約やデータの取り扱いを確認したうえで、慎重に判断するよう求めています(確認日:2026年10月)。社員に共有するときも、「このAIには何を入れていいか」を一言ルールとして決めておくと、人によって判断がばらつくのを防げます。新しいAIサービスを試すときほど、最初にこのルールを思い出す習慣をつけておくと安心です。
BUILDO公的機関は何と言っている?
ここまでの内容のもとになっている、公的な資料を2つ紹介します。難しそうに見えますが、どちらも中小企業やお店の担当者が読んでも理解できる内容です。
- 個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(2023年公表)。個人情報取扱事業者・行政機関等に向けて、生成AIへの個人データの入力は利用目的の範囲内で行うことなどを求めています。
- 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」(2024年公表)。AIを利用する事業者に向けて、機密情報・個人情報を入力する前に、サービスの利用規約やデータの取り扱い方針を確認することなどを求めています。
どちらも「AIを使うな」ではなく、「何を入れるかは、先に確認してから」という考え方である点は共通しています。むずかしい法律の話に見えますが、言っていることは意外とシンプルで、「人に渡す前に考えること」と、ほとんど同じです。公的な資料は定期的に見直されることもあるため、気になる方は発表元のページで最新の内容を確認してみてください。こうした資料は、専門家でなくても読み進められるよう、具体例を交えて書かれているものが多くあります。
安全に使うための3つの習慣
細かいルールをすべて覚えるより、次の3つを習慣にするほうが実用的です。
- 名前や連絡先は置き換える:お客さまや取引先の名前・住所は、仮の名前に置き換えてから入力する
- パスワード・番号は入力しない:ログイン情報、暗証番号、マイナンバーなどは、どんなときもAIに入力しない
- 最後に人の目で確認する:AIが作った文章も、送信・公開する前に必ず人が読み、個人情報や社外秘が紛れ込んでいないか確認する
この3つだけでも、起こりやすいトラブルの多くは防げます。難しい専門用語を覚える必要はなく、「人に見せるときと同じ気配り」をAIにも向けるだけで十分です。慣れてくると、置き換え作業も数秒でできるようになり、かえって文章を整理する習慣がつくという声もあります。
MIMI内見パンダでの工夫
PANDA合同会社では、自社の不動産SNSアカウント「内見パンダ」の運用でAIを活用しています。投稿文を作るときも、物件の間取りや駅からの距離といった「公開してよい情報」だけをAIに渡し、内見したお客さま個人の名前や連絡先は入力しない、というルールで運用しています。
AIが作った文章も、公開する前には必ず人が読み、おかしな情報が混ざっていないかを確認してから投稿しています。特別な仕組みを導入しなくても、「渡す情報を先に選ぶ」「最後に人が見る」という二つの一手間だけで、安心してAIを使い続けられます。AIに仕事を任せるときほど、何を渡すかを決めるのは、今のところまだ人の役目だと考えています。これは規模の大きな会社だけでなく、担当者が一人しかいないお店でも、そのまま取り入れられる考え方です。
まとめ
- AIに入れていい情報の目安は「人に見せても困らない内容かどうか」
- 名前・連絡先・パスワード・番号は入力しない。入れたい場合は仮の情報に置き換える
- 公的機関も「禁止」ではなく「入れる前に確認する」という考え方を示している
- 最後は必ず人の目で読み、個人情報や社外秘が紛れ込んでいないか確認する
AIは便利な道具ですが、何を入力するかを決めるのは、今のところまだ人の仕事です。難しく考えすぎず、まずは小さな習慣から、安心して使えるAIとのつきあい方を始めてみてください。
出典



